子どもが生まれた瞬間、

この子を一生守ろう、幸せにしよう。

そう強く思ったはずなのに——

気づけば、

朝はバタバタと支度をして

「早くしなさい」と言い、

夜は疲れてスマホを見ながら

「あとでね」と流してしまう。

子育ては、いつの間にか

“当たり前の日常”になってしまいます。

それ自体が悪いわけではありません。

毎日を回していくことは、それだけで精一杯だから。

でも、ふと立ち止まったとき、

僕はあることに気づいてしまいました。

無条件に愛しているのは、本当はどっちだろう

親はよく言います。

「子どもは、無条件に愛してる」

「だから、多少厳しくしても大丈夫」

でも、よく考えてみると——

無条件で愛してくれているのは、子どものほうなんじゃないでしょうか。

どんなに仕事で疲れていても

どんなに機嫌が悪くても

どんなに約束を守れなくても

子どもは、

「パパが好き」

「ママが好き」

と、疑いもなく言ってくれます。

その無条件の愛に、

僕たちは甘えてしまう。

「今日できなくても、また明日でいいか」

「今は忙しいから、仕方ない」

そうやって、

大切なことを後回しにしてしまう。

現状に満足してしまう、怖さ

子どもは、今この瞬間も成長しています。

昨日できなかったことができるようになり、

昨日より少しだけ大人になっていく。

でも、親はどうでしょうか。

「まあ、今は問題ない」

「ちゃんと育ってるし、大丈夫」

そうやって、

現状に満足してしまう。

けれど、

子どもと向き合える時間は、

思っているよりずっと短い。

「また今度」

「そのうち」

そう思っている間に、

子どもは親の手を離れていきます。

この物語を書いた理由

『君に渡す、生き方』は、

立派な教育論を書きたくて生まれた物語ではありません。

むしろ逆です。

・ちゃんと向き合えているだろうか

・本当に大切なことを伝えられているだろうか

・自分は、この子に何を渡せるのだろうか

そんな問いを、

自分自身に突きつけるために書きました。

この物語の父親は、

完璧でも、理想的でもありません。

不器用で、迷って、

何度も間違えます。

それでも彼は、

「今」を大切にしようとします。

一緒に笑い、

一緒に悩み、

一緒に生きる姿を見せようとします。

後悔しないために、今できること

子育てに、正解はありません。

でも、ひとつだけ確かなことがあります。

子どもがくれる“今”は、二度と戻らないということ。

いつか思い出すのは、

叱った回数でも、稼いだ金額でもなく、

・一緒に笑った時間

・ちゃんと目を見て話した瞬間

・「ありがとう」と伝え合えた記憶

そんな、何気ない日常です。

この物語が、

あなたにとって

「今日、少しだけちゃんと向き合ってみよう」

そう思うきっかけになったら、

これ以上嬉しいことはありません。